フリーランス営業代行に委託するメリットとは?営業代行会社との違いも解説

営業活動の外注を検討するとき、フリーランス営業代行への委託を考える担当者も多いでしょう。この記事では、フリーランス営業代行の概要とメリット、注意点を紹介したうえで、営業代行会社との違いを解説します。

フリーランス営業代行が向いている企業も紹介するので、「フリーランスと営業代行会社のどちらにすべきか迷っている」という方もぜひご覧ください。

目次

フリーランス営業代行とは?

フリーランス営業代行とは、自身の営業スキルと知識をいかして活動する個人です。会社や組織に所属せずに、主に企業からの委託を受けて営業活動を行い、対価として報酬を得ています。

フリーランス営業代行は個人で活動しているため、営業代行会社に比べて業務範囲は狭いです。しかし、テレアポやメール営業といった営業活動の一部だけ担うフリーランスや「アポ取りから契約まで一貫して代行」するフリーランスも存在します。中には、営業コンサルティングを専門に行うフリーランスもいます。

業界全体で考えた場合、フリーランス営業代行は営業活動全般に対応しているといえるでしょう。

なぜフリーランス営業代行が注目されるのか

フリーランス営業代行が企業・業界から注目される理由は主に3つです。

  1. 生産年齢人口の減少により、企業が取り組む営業職の採用・育成が困難になっている
  2. 副業・兼業という働き方が社会的に認められてきた
  3. クラウドソーシングサービスや営業代行マッチングサービスの登場により、個人が活躍できる場が増えた

内閣府ホームページの「令和4年版 高齢社会白書」によると、15歳から64歳の生産年齢人口は、1995年(平成7年)の8716万人をピークに減少しており、令和3年には7450万人となっています。

減少傾向は今後も続くと見込まれており、営業職の採用・育成に問題を抱える中小企業は多いと予測できるのです。

画像引用:令和4年版 高齢社会白書(全体版) 第1章 高齢化の状況

生産年齢人口が減少する一方で、従業員の副業・兼業を認める動きは加速しています。厚生労働省が平成30年に策定(令和4年改定)した「副業・兼業の促進に関するガイドライン」では、「企業が従業員の副業・兼業を認める方向とすることが適当である」と述べられています。

“(1) 基本的な考え方

裁判例を踏まえれば、原則、副業・兼業を認める方向とすることが適当である。副業・兼業を禁止、一律許可制にしている企業は、副業・兼業が自社での業務に支障をもたらすものかどうかを今一度精査したうえで、そのような事情がなければ、労働時間以外の時間については、労働者の希望に応じて、原則、副業・兼業を認める方向で検討することが求められる。”

引用:厚生労働省|副業・兼業の促進に関するガイドライン 3 企業の対応

内閣官房日本経済再生総合事務局が2020年にまとめた「フリーランス実態調査結果」では、国内のフリーランスは462万人(本業214万人/副業248万人)と試算されています。

画像引用:フリーランス実態調査結果 内閣官房による統一調査と類似調査との比較

企業に所属しない働き方を希望する人が増えることで、フリーランス営業代行の数も増えていくでしょう。中小企業が営業活動の外注を検討するとき、フリーランス営業代行と営業代行会社という2つの選択肢が考えられます。

フリーランス営業代行に委託するメリット

フリーランス営業代行に委託するメリットは次のとおりです。

  • 営業経験豊富な人材と出会える
  • 外注コストを抑えた委託も可能
  • 柔軟、スピーディな対応を期待できる

営業経験豊富な人材と出会える

フリーランス営業代行の多くは、企業や団体で培った営業経験をいかして活動しています。

たとえば、あるフリーランス営業代行は、衣料品の販売会社・人材紹介会社・学習塾などで営業職に従事した経験をいかして、クライアントの営業活動を代行しています。

別のフリーランス営業代行は、旅行・ホテル業界などで新規営業・ルート営業に約10年間従事。現在は宿泊施設のWeb販売全般の営業活動を支援しているそうです。

フリーランス営業代行に委託すれば、こうした営業経験をいかしたフリーランスが自社の商品・サービスの魅力を顧客にアピールしてくれるでしょう。

外注コストを抑えた委託も可能

フリーランス営業代行は、営業代行会社に比べて小規模な発注が可能です。たとえば「テレアポ業務のみ」「営業リストの作成のみ」「営業データの入力のみ」といった営業活動の一部を委託できます。

外注コストを抑えつつ自社の営業活動を効率化したいときは、フリーランス営業代行を検討するとよいでしょう。

柔軟、スピーディな対応が可能

フリーランス営業代行には、営業代行会社に比べて柔軟な対応やスピーディな対応を期待できます。

個人の裁量で意思決定を行っているフリーランス営業代行は、企業・団体のように裁量権のある役職者への相談が不要です。意思決定の仕組みが単純なため、クライアントからの依頼に柔軟に対応できるのです。

フリーランス営業代行なら急なトラブルや急ぎの対応にもよりスピーディに対応してくれます。

契約前に知っておきたい!フリーランス営業代行の落とし穴

フリーランス営業代行には、メリットだけでなく注意点もあります。契約後に後悔しないよう以下の項目を確認しましょう。

  • 自社以外にも複数のクライアントがいる
  • 選考に時間と労力が必要
  • フリーランス保護法に対応しなくてはいけない

自社以外にも複数のクライアントがいる

フリーランス営業代行は、複数の案件やクライアントを抱えており、自社の案件をいつでも優先するとは限りません。

仕事状況によっては、依頼を断られたり仕事のスピード・質が不安定になったりするおそれもあります。また、フリーランス自身に急な体調不良が起きたら、自社の営業が停滞するかもしれません。

こうした依頼後のトラブルを防止したい場合は、営業代行会社がおすすめです。営業代行会社には複数のスタッフが在籍しているため、営業活動が急に停滞したり仕事の質が大きく変化したりといったことが考えにくいからです。

選考に時間と労力が必要

自社に合ったフリーランス営業代行を見極めるには、時間と労力が発生します。

選考の具体的な項目をみてみましょう。

  • 自社の商材や業界経験があるか
  • 営業代行の実績はどのくらいか
  • 他発注者から何度も低評価されていないか

営業代行のマッチングサービスには、数万人規模でフリーランスが登録されています。その中で、選考のポイントを頭に描きながら登録者一人ひとりを確認する担当者の負担は大きいでしょう。

自社に合った営業代行を見つけたいなら、営業代行比較サイトなどで効率的に探す方法がおすすめです。

フリーランス保護法に対応しなくてはいけない

フリーランスの人たちが安心して副業・兼業に取り組めるように、フリーランス保護法(正式名称:特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)が令和6年11月1日に施行されました。

フリーランスに営業活動を委託する事業者は、法律に記載された項目を守らなければいけません。

義務項目の一例は次のとおりです。

  1. 取引条件の明⽰義務
  2. 期日における報酬支払義務
  3. 発注事業者の禁止行為
  4. 募集情報の的確表⽰義務
  5. 育児介護等と業務の両⽴に対する配慮義務
  6. ハラスメント対策に係る体制整備義務
  7. 中途解除等の事前予告・理由開⽰義務

出典:特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律 (フリーランス・事業者間取引適正化等法)パンフレット

同法には罰則規定が設けられているため、万が一違反すると規定に則り罰金が科せられます。

“第二十四条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、五十万円以下の罰金に処する。

一 第九条第一項又は第十九条第一項の規定による命令に違反したとき。

二 第十一条第一項若しくは第二項又は第二十条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又はこれらの規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。

第二十五条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して同条の刑を科する。

第二十六条 第二十条第二項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、二十万円以下の過料に処する。”

引用:e-GOV法令検索|特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律

フリーランス営業代行に委託するときは、フリーランス保護法を学ぶために時間や労力を割く必要があるのです。

フリーランスと営業代行会社の違い

フリーランスと営業代行会社の違いを「業務範囲」「報酬」「コミュニケーション」に分けてみていきましょう。

業務範囲

業務範囲の違いは下表のとおりです。

項目フリーランス営業代行営業代行会社
業務範囲狭い(フリーランスの営業経験や・得意分野による)広い(複数の営業業務を依頼できる・得意分野も広い)

フリーランス営業代行の業務範囲は、自身がこれまで培ってきたスキルや経験がいきる場面です。しかし、経験のない業務では高い成果をのぞめません。

一方の営業代行会社には複数の営業スタッフが在籍しており、幅広い業務を委託できます。得意な業界もフリーランス営業代行より広く、より高い営業成果を期待できます。

報酬

報酬体系の違いは下表のとおりです。

フリーランス営業代行営業代行会社
時給制または固定報酬型固定報酬型または成果報酬型

固定報酬型とは「営業成果に関わらず一定額の報酬を支払う仕組み」です。成果報酬型は「営業成果に応じて報酬が発生する仕組み」となります。

フリーランス営業代行では、固定報酬型を採用している方が多いようです。フリーランスにとって、成果報酬型はリスクが高いためと思われます。

一方の営業代行会社は、営業業務の内容にもよりますが「固定報酬型または成果報酬型」を提供しているケースが多いようです。

コミュニケーション

コミュニケーションの主な違いは下表のとおりです。

フリーランス営業代行営業代行会社
レスポンスが早め意思決定までの期間が短期間マナーや作法の悪い人がいるレスポンスは普通重要な案件は意思決定までに時間がかかるマナーや作法の良い人が多い

コミュニケーションにかかる時間やお互いの意思疎通がうまくいかないと、双方にとってよくない影響をあたえます。営業代行を検討する際は、相手のコミュニケーション力や自社との相性に気をつけましょう。

フリーランス営業代行が向いている企業の特徴

フリーランス営業代行が向いている企業の特徴は次のとおりです。

  • 営業業務全般を依頼したい
  • 継続的に支援して欲しい
  • スケジュールや品質に安定感を求める

営業代行会社は、フリーランス営業代行に比べてリソースにある程度の余裕があります。複数の営業スタッフが在籍しているため、包括的な依頼にも対応できるのです。

一方のフリーランス営業代行は、個人で活動しているため、営業全般の依頼には対応できないケースが多いでしょう。

フリーランス営業代行が向いている企業の特徴は次のとおりです。

  • 特定の期間だけ営業業務を委託したい
  • スポット的に手伝って欲しい
  • 営業代行にかかる予算を抑えたい

フリーランス営業代行は、柔軟な対応を得意としている人が多く、短期間の案件も委託できます。また、営業代行会社に比べて予算を抑えて仕事を受注している方もおり、予算を抑えたい企業にもおすすめです。

なお、フリーランス名鑑に登録しているフリーランス営業代行の「希望時給単価」をみると、3,000円から1万円が相場です。より具体的な金額を算出したい場合は、フリーランスに直接連絡して報酬金額を設定することになります。

営業代行会社の費用を知りたいときは、直接資料請求または問い合わせを行いましょう。おすすめは、複数社の比較検討ができる「営業代行比較サイト」です。

まとめ

フリーランス営業代行は、企業や組織に所属せずに、自身の営業スキルや知識を用いて活動する個人です。

独立してやっていけるだけの豊富な営業経験や知識を持つ人が生き残っていく世界のため、活動歴の長いフリーランスに委託すると、自社の営業活動を効率的に改善できるでしょう。柔軟な対応や予算の削減効果も期待できます。

ただし、実績のあるフリーランス営業代行ほど業務多忙です。必ずしも自社を優先してくれるとは限りません。また、企業側にとって優秀なフリーランスを探してから見極める労力・時間も負担になるでしょう。

フリーランス営業代行を検討する際は、こうしたメリットや注意点を抑えたうえで、自社の状況や商材と相談して慎重な判断をすべきです。

弊社は「営業代行比較サイト」を運営しています。複数の営業代行会社の情報を一度の検索で手に入るため、営業代行会社の比較検討に適切なWebサイトです。

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